個人事業主・自営業はお金を稼いだ分だけ手取りで貰えて羨ましいという話を聞きますが、個人事業主・自営業は何かあった場合に自分で対応しなければなりません。
しかし会社員の場合は会社に就職したら各種税金が引かれ手取りが減る代わりに自動的に制度が使える仕組みになっています。
会社員として就職した際にどういった制度が利用出来るのかを個人事業主・自営業と比べながら具体的に解説していきます。
公的保険
突然の事故や病気になった時の高額の医療費を軽減するため、公的医療保険に加入しなければなりません。
公的医療保険とは健康保険(協会けんぽ、組合管掌保険)、国民健康保険組合、船員保険、各種共済組合等です。




高額医療費(自己負担限度額)
会社員、個人事業主・自営業ともに対象
同じ月に1つの医療機関に支払った自己負担額のうち限度額を超えた分について払い戻しがあります。
ひと月あたりの限度額は以下の通りです。
会社員は健康保険
個人事業主・自営業は国民健康保険
健康保険標準報酬月額 | 国民健康保険(所得) | 自己負担限度額 |
83万円以上 | 901万円超え | 25万2600円+α |
53万円~79万円 | 600万円超え~901万円 | 16万7400円+α |
28万円~50万円 | 210万円超え~600万円 | 8万100円+α |
26万円以下 | 210万円以下 | 5万7600円 |
ポイント
・家族一人当たりの自己負担額が月額2万1000円以上となった場合、世帯で合算できる。
・事前に限度額適用認定証を医療機関窓口に提出する事によって支払いが自己負担限度額までになる。
・4ヵ月目以降は減額される。
・70歳以上の場合は別計算となる。
・単独の保険組合には付加給付を設けている健康保険組合もあります。
*付加給付とは高額医療費の限度額に関係なく一定額以上になった場合、差額を返金してくれる制度。
公的医療保険と国民健康保険の給付の違い
手当
会社員 | 個人事業主・自営業 | 70歳~75歳未満 | |
傷病手当金 | 一日あたり給与の3分の2程度 | 給付されない | 退職後の疾病は給付されない |
出産・育児一時金 | 子供一人あたり42万円 | 各市町村毎に異なる | |
出産手当金 | 一日あたりの給与の3分の2程度 原則として産前産後の98日分 |
給付されない | |
埋葬費 | 加入者及び家族5万円 | 各市町村毎に異なる | 原則、退職後は給付されない |
傷病手当金
業務外の病気やケガで働けなくなった時に支給される。企業の健康保険組合や教会けんぽから支給されるため会社からの支払いではありません。
正社員、原則として週30時間以上(一定の要件に該当すれば週20時間以上)働くアルバイトやパートタイマーが受け取れます。
実際に支給される金額は給与の日額3分の2の金額、期間は最長1年6ヵ月になります。
傷病手当金は以下全てに該当すれば申請可能
- 業務外の病気やケガで治療のための休業であること。(新型コロナ罹患対象)
- 仕事に就くことが出来ないこと。
- 連続する3日間を含み4日間以上仕事に就けなかったこと。
- 休業した期間について給与の支払いが無いこと。
保険(全額会社負担)
会社員 | 個人事業主・自営業 | 70歳~75歳未満 | |
労災保険 | 有り | 無し | 場合による |
雇用保険 | 有り | 無し | 無し |
年金
会社員 | 個人事業主・自営業 | 70歳~75歳未満 | |
老齢基礎年金 | 有り | 有り | 有り |
老齢厚生年金 | 有り | 無し | 在職時による |
障害厚生年金 | 有り | 無し | 無し |
遺族年金(子供いる妻) | 有り | 有り | |
遺族年金(子供いない妻) | 有り | 無し | |
遺族厚生年金(子供いる妻) | 有り | 無し | |
遺族厚生年金(子供いない妻) | 有り | 無し |
*遺族年金は会社員の妻の方がより多く支給されます。
最後に
一言
会社員で病気で退職を余儀なくされたが傷病手当を申請せずに辞めてしまった方がいます。
会社は様々な制度はありますが何かあった時に会社からアナウンスしてくれない場合もあるので、今回書いた手当、保険、年金の言葉を頭に入れておき必要な状況になったら改めて会社に確認を取り申請方法を聞きましょう。